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なおと世界一周旅日記   Vol.133  「起死回生!最高の夜〜即興ライブ〜」

5/23(日)          in  ボゴタ(コロンビア)

かくして、お店に入る権利をもぎ取った「なおと」。
一時間後に、お店に戻り、ようやく念願の入店に成功した。

サルサやメレンゲ、ラテンポップといったライブを体感。
いい感じのヴォーカルの奴に何かを感じた。
しかし、なぜか真後ろに常に、俺を見張っているさっきのセキュリティスタッフ。
俺がテロ犯にでも見えるのだろうか?
あるいは、おお暴れするたちの悪い客とでも思っているのであろうか?
10分程経った時に、
「もう、いいだろう? 行くぞ!」と、退出させられそうになった。
他の一般のお客さんのように、まだ正式なお客として扱われていなくて、
保護者付きで、ちょっと覗かせてくれている見学者に過ぎなかったのか。
そうかー、セキュリティー君、だから、君はずっとそこにいたのかー。

「待て!もうちょっとだ!」

その催促に負けず、ここでも粘りをみせる。
超近距離の監視も気にかけず、夢中で演奏を見、踊る。
すると、ステージの上からヴォーカルが俺に向けて何かゼスチャーをしている。
その動きから「俺がおごるから、ビールを飲むか?」と、言っているらしかった。
そんな(優しいというかキザというか)ことをされたことがなかったので、
一瞬戸惑った。
監視役のセキュリティ君が寄ってきて、しょうがなく
「ビールを(彼がプレゼントしてくれるといっているが)飲むか?」と尋ねる。
やはり、ボーカルの彼からのボディランゲッジの解釈は間違っていなかったようだ。

有り難い、その頂いたビールを 飲みながら、
ボーカルの彼は俺に助け船を出してくれたのだ、と感じた。
手に持っているこのビールは、ここにいてもいいという許可証のようなものだった。
見張り付きの見学者は、お客を一気に飛び越して、演奏者の友達としての
VIPな立場に成り上がった。

俺が監視され続けていたのを彼は見ていて、手を差し伸べてくれたのであろう。
フランス代表のジダンのようなやさしい目をした、大柄だが甘い声で歌う、
ヴォーカルの彼に、何か特別なものを感じた。

しばらくすると、監視はいなくなり、ようやく自由の身になった。
このビールのおかげであろう。
鎖を外された鳥は、大空を飛ぶように、ラテンの音楽に酔いしれた。

ステージが終わり、救世主にお礼を言いに行くと、なんとも気さくで
しかも、すでに俺のことを分かってくれているような心の通じ合いがあった。
二人でテンション高々と、話している途中で、ふと俺がBGMに合わせて
ノリで歌ったり、HBB(ヒューマンビートボックス ※ヴォイス・パーカッション)を
したりしていると、それに感激した彼は、ステージでやってくれ!と言い出した。
すぐさま俺をPAさんのところに連れて行って、説明し、
後ろに4つ打ちのリズムだけ流して、マイクを入れ、
「さあ、大空を羽ばたいてこい!」というように、俺をステージに送り出してくれた。

そのステージで俺が即興で10分間のパフォーマンスをし、
会場を大いに盛り上げたことは、お察しいただけるだろうが、
何よりも、ずっと監視されていた奴隷が王様に変身したかのような
立場の変わりようが、快感でならなかった。
あのセキュリティ君の驚いた顔。
何でお前が歌っているんだー!?といったような。
(もちろん、その後奴も何も言えず。。。)

驚いたのは、セキュリティの奴だけではなかった。
ボーカルの彼、サンティアゴ・クルスもまた、大喜びで、自分の発掘した日本人の
ファンキー・アーティストのショウを絶賛してくれた。
それからのサンティアゴといえば、次々に彼の周りの知り合い、友達、
バンド・メンバー、兄弟などを俺に紹介してくれ、いつのまにか、
周りにはたくさんの友達ができていた。

夜中の2時にお店が終わってから、サンティアゴの仲間8人に連れられて、
ZONA ROSA(ソナ・ロサ)という繁華街にあるクラブに踊りに行った。
ZONA ROSAの街もまた、人気(ひとけ)は少なかったが、そこのクラブの中に
入ると、ぎっしりと人が入っていた。
地元ッティは知ってらっしゃるね、やはり。
そして久しぶりに朝まで、踊り明かす。
そこがコロンビアだということを完全、忘れて。
かといって、日本というわけでもない。
つまり、国という概念も、人種という概念も無く、
地球で人間である仲間と楽しい時間を過ごした。

翌日の、お昼ご飯の約束もして、その日は別れる。
最高の夜であった。
逆境の分だけ、何倍にも楽しめた。
やはり、サクセスストーリーには、逆境は不可欠ですな。。。
ふはっは、始めからうまくいってたら、面白い自伝は書けませんもの。


P.S.
真夜中のクラブに中国人マフィアが二人登場した。
ソファーで金で釣ったコロンビアーナの女をはべらかせていた。
学らんの様な服を着て、金髪の長い髪。
大きいメガネをはめたその姿は、映画に出てくるようなギャグな格好であった。


    急展開!☆なおと


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