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なおと世界一周旅日記  Vol.183  「全身全霊でキューバを体感!!」 

7/22(木)       in サンティアゴ・デ・クーバ(キューバ)

ただただ、その音の持つ勢いに圧倒されていた。
激しいグルーヴが鼓動を揺さぶる。
いくつものリズムが複雑に重なり合い、1つのグルーヴを生み出す。
コンガ、大きめの皮の太鼓、両側に大きいのと小さいのが付いている太鼓、
車のホイールを使った金の音などが、同じリズムをループする。
その上に、ホーン・セクションがアタックの強いフレーズを力強く吹く。
さらにホーンに代わって、かつて中国人が持ち込んだと言われるチャルメラの笛がアラブを想わせる怪しい旋律を奏でる。
同じフレーズを繰り返し、繰り返し演奏している男たちは、
完全に一種の覚醒状態に入っていた。
それを聴いて感じている人もまた、それに近い感覚に陥っていく。
キューバに来た!!
その事実を100%体で感じていた・・・。

ベネズエラ・カラカスから、パナマ経由で6時間かけて、キューバにやって来た。
そして翌朝には、もうハバナを発ち、冷凍庫並みの寒さを誇る「超冷房効き過ぎ
バス」での17時間の移動の末、キューバで2番目に大きい都市であり、歴史的な
建物も多く残る街、サンティアゴ・デ・クーバに到着した。
なぜ、そんなにも急いでサンティアゴへ?!
なぜって、そりゃー、カーニバルが俺を呼んでいるからよー。

ブラジルのサルバドール、リオのカーニバルに続いて、
なんともピンポイントなタイミングで、サンティアゴでカーニバルが!!
しかも、サンティアゴのカーニバルは、キューバで一番規模が大きく、
熱いカーニバルらしい。
しかも、おととし、去年と、そのパレードは政治的、経済的な両面で
開催されなかったとか。
つまり、3年ぶりの晴れ舞台。
どんなにラッキーなタイミングでここにいるかは、この人の話から思い知らされた。

3年越しのカーニバルを、しかと自分のカーニバル人生のコレクションに
収めようとしている男、その名は白根全。
年齢不詳。(まあ、結構いってる。)
世界でたった二人しかいないカーニバル評論家のうちのひとり。
もちろん、そんなことをやるのは、日本ではただ一人、この男しかいない。
世界のあらゆるカーニバルを駆け回ること、30年。
そして、ついに去年、ラテンの真髄、究極のカーニバル体験が味わえる究極のカ
ーニバルの本(カーニバルの誘惑=ラテンアメリカ祝祭紀行、毎日新聞社刊)を出してしまったから、本当に恐れ入る。
また根っからの旅好きで、パリダカ(パリから、ダカールまでのレース)の
サハラ砂漠横断コースを半年かけて、ゲンチャリで完走したこともある。
また、数年前随分話題を呼んだフジTV「グレートジャーニー」のスタッフも引き受け
コース決め、許可取り、撮影の下見等を、全部先に回ってやったとか。
影で番組を支えていた超重要人物なのである。



そんな全さんに初めてお会いしたのは、この旅の中で、ブラジルのリオだ。
そして、今回サンティアゴでのカーニバルの開催に伴い、
キューバ入りした全さんと5ヶ月ぶりの再会。
でも、こないだ会ったのはつい最近のことのようだ。
いつものことながら、時が経つのはなんと速いのだ。
日本に帰った時、旅に出たのが、つい最近のことのように感じるのだろうか。
それとも、随分長いこと離れていたように感じるのだろうか。
自分でも興味深いところである。

それにしても、3年ぶりに開催されるカーニバルに居合わせるこの、
引きの強さ、どうにかしてくれー!!(嬉)

サンティアゴ・デ・クーバでは、東部地方ならではの「コンガ・オリエンタル」と
呼ばれる、ハイチ系の影響の強い速く激しいテンポの演奏と踊りが
特徴であるという。
確かにリオと比べると、その規模は随分小さく、
お金もないので、派手さにも中途半端さが残る。
山車の数も大きさもやはりリオにはかなわない。
が、しかし、その踊りのひたむきさ、演奏のひたむきさは、びんびん伝わってくる。

「私、踊っていて心から幸せでーーす!」
「俺、太鼓叩いてたら、それだけで快感——!」といった心の声が聞こえてくる。
というのも、全さんのおかげで、カメラマンのアシスタントという偽りの肩書きで、
メインロードに入り込めたことが大きかった。

普通カーニバルは、メインロードの両側に組まれた桟敷席から眺めるものである。
その間の距離は、どうしても見る側として、温度差を感じてしまいがちである。
ところが、メインロードの中で、太鼓を叩く音を感じ、激しい踊りを目の当たりにする
と、そのすさまじさを、まじまじと感じずにはいられなかった。

計4日間、そのパレードを見に行ったのだが、その最終日は、子供だけの日。
これがまたすごい!!なんというリズム感なのだ、この子供たちは!!
大人に負けじ劣らず、すごい踊り、演奏を披露している。
女の子たちの腰のクネクネは、もう完全に「sexy」なのだ。
まだ小学生であろう子供の、その官能的な動きに、
思わずため息を漏らしてしまった。
生活の中に、「踊り」という文化がしっかり根付いているからであろう。
生まれた時から、親と一緒になって踊っているのだから、それは日常なのだ。
彼ら、彼女らにとってみれば、飯を食うとか、用を足すとか、歯を磨くといった行為
となんら変わりなく、「踊る」ということが生活に組み込まれているように感じる。

キューバに入るなり、いきなりキューバ人が最も輝いてる瞬間を見た。
そして、この魅惑の国に完全に魅了されていた。

       ラテン100%☆なおと


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