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なおと世界一周旅日記  Vol.174  「ギアナ高地ツアー〜よぼよぼパイロット〜」

7/12 (月)          in カナイマ(ベネズエラ)

昨日夜遅くに着いたため、ツアー会社は閉まっていた。
今朝7時、早起きをして、旅人の間で評判のいい「アドレナリン」というツアー会社に押しかける。
 「今日から、ツアーに行かせてください!」
出た・・・久しぶりの「千と千尋の神隠し」の千尋ばりの、お願い攻撃である。
たまたま運良くはまり、今日からのツアーに参加できることになった。
念願のギアナ高地、エンジェルフォール・ツアーである!
この旅に出る前から、パタゴニアの氷河、ベネズエラのギアナ高地は、
絶対に行きたいと思っていた憧れの地であった。

おとといの夜ボゴタを発ち、昨日シウダ・ボリーバルまで一気にやって来て、
今朝からもう、ツアーに参加し、ギアナ高地に行ける。
この完璧ともいえるスムーズな動きに嬉しくなった。

ところが、憂鬱なことがひとつあった。
セスナである。
ギアナ高地の奥まで行くには、2時間バンで走ってからは、道がないため、
セスナに30分ほど乗らなくてはいけなかった。
6人乗りの小型飛行機。
普通の飛行機でも大嫌いな俺が、そんな小さい飛行機が大丈夫なはずがない。
めちゃめちゃ怖いではないか。
そんな小さいの、落ちるだろう・・・しかも、ベネズエラってのが、また・・・。
たとえ、落ちなくてもたいそう気持ち悪くなるという話を聞くではないか。
みんなゲロゲロだと。

ギアナ高地には行きたいが、セスナには乗りたくない。
でも行きたい。なら、乗らざるを得ない。
乗り場に着き、セスナを待っていると、ツアーから帰ってきた乗客達が降りてきた。
その中の日本人に、「セスナはやはり気持ち悪いですか?」と、
最終確認を図ったところ、まったく包み隠さず、
「超、気持ち悪い」というファンタスティックな答えが返ってきた。
これから乗ろうって奴に、励ます言葉もかけられないほどの
気持ち悪さだったのであろう。
ますます不安が増す。

そして、パイロットが向こうからやって来た。
ちょっと待て!! あんたじゃないよな。
まさか。。。待て、待て! 違うだろー!?
頼むぜ〜! うそだろうー?!
だって、めちゃめちゃ、じいさんだぜ?!
おいおい! 杖をついて歩いてるぜ!?
完璧に70歳は超えてるって!
まじ、無理だよ! よぼよぼだろう。
これは、自殺するようなもんだ。
どうする?なおと。
どうするって言っても、もう後戻りはできんしなー。
泣く泣く、いやいや、おずおず、パイロットの横の席に座り、とうとう覚悟を決めた。

じいさんがパイロット席に座る。
足が悪いらしく、座るのに時間がかかる。
おいおい大丈夫か・・・やっぱり、どっからどう見ても、相当のじいさんっぷりだ。
不安すぎて、たまらなく、おじいさんに尋ねる。
 「あのーもう何度も、行ってらっしゃるんですよねー?」
 「ああ、そうじゃなーーもう50年になる。」
50年。。 50年。。 50年?!!

俺が生まれる25年前から、今まで、ずーっとセスナを運転しているという事か!
しかも、このじいさんは、今、まだ、生きている。
その存在は、まだ事故にあっていない何よりの証拠だ。
安全だ、このじいさんは、安全だぞーー!!
経験値が並大抵じゃない!
なんと単純な頭なのであろう。
50年という言葉を聞いたとたん、あれだけ頼りなく見えたじいさんが、
とても頼もしいスーパーキャリアマンに変身した。
じいさん、私の命預けます。

そして、飛行機は、速度をグングン上げ、ゆっくりと大空に飛び立った。
上から飛行場を見下ろすと、墜落したと思われるセスナの残骸が落ちており、
またも極度の不安に襲われたが、隣のじいさんの真剣な横顔を見ると、
安心感が広がった。

空からの景色は絶品であった。
あんなにも、木が密集した森を、ジャングルを上から見た記憶がない。
ずーーーーーーっと、先の先まで、緑のカーペットが続いている。
普段、飛行機からだと、高度が高すぎてよく見えないが、
セスナは高度がそんなに高くないため、大地の様子がよくわかるのである。
まだまだこの星も、自然が残っているのであるな、と窓を眺めながらつぶやく。
着陸までは、さすがに緊張感を伴い、しっかりと座席につかまっていたのであるが
無事着陸した時には、拍手喝采した。
さすが、じいさん! まじナイス・フライト。
ありがとう、俺の命をありがとう。
ぜんぜん、気持ち悪くなかったさ。
運転うまいんだろーな、これは。

ここまで来てしまえば、後は楽しいことだけが待っている!
ギアナ高地ツアー、いざ出陣!!

      命からがら★なおと


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