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なおと世界一周旅日記
      Vol.110 「大冒険②〜マチュピチュ行きドキドキ電車〜」

4/4 (日)          in オリャンタイタンボ(ペルー)

そんなスリリングかつワクワクな話を二人に持ちかけてみた。
「う〜ん。無理じゃないか〜。」
普通のリアクション、当然のリアクションだ。 
確かに常識で考えたら、まったく無茶な話だ。 
トムソーヤの冒険か?!はたまたエルマーの冒険のような、アドベンチャー物語を現実の世界に持ち込むバカな奴はそういないのであろう。

 「なんかわからんけど、行ける気がするんだよね〜 うまくいく気がするんだよ。」
そう言ったところで、2人の表情は浮かないまま。 
とりあえず回り込んで、駅構内に入れるのか? という、最初の段階を
確認するため、駅を背に歩き出した。

しばらくすると、ここから線路に入れるかも?という草むらがあった。 
ピンときた。
何か、つながっている気がした。
かっちゃんも、そこには何かを感じていた。
その草むらから中に入った。 
だんだん、かっちゃんもその気になってきたようだ。
3人の中で一番、時間的に深刻なひろしは依然として夢ではなく現実を見ている。
しかし、まあ、とりあえず、やれるだけやってみようという気にはなってきていた。

その草むらの奥から、牛を連れている少女が出てきた。 
どうやら、やはり奥につながってるらしい。 
あたりは、少しずつ暗くなってきている。 
ぐんぐん、奥に進んでいくと、思った通り駅から離れた線路にたどり着いた。 
さあ、そこからどうやって、駅に忍び込むか?

3人で作戦を立てている時、まぶしい明かりが近づいてきた。 
駅に電車が入ろうとしているのだ。 
電車が僕らの目の前をゆっくりゆっくり通った。 
本当に1.5m程の距離だった。 
必死で身を隠す。 
まさか、こんなところに人がいるとは思わない場所だったのだろう。 
見つからずに済んだ。 大丈夫・・・。

作戦会議を再開し始めた矢先、今度は貨物列車が、
これまたゆっくりと目の前を通った。 
慌てて隠れたが、ダイレクトに光が当たってしまい、乗務員に見つかってしまった。何か、言っている。 叫んでいる。
「こっちへ来い」と言っているのだろうか? 
「警察に連れて行くぞ」と言っているのだろうか。 
黙ったまま動かずにいると、もう少し駅の方へ進んだあたりに、
貨物列車は止まった。

あのおっさんに、いくらか金を渡して、買収してだな〜、
内緒でアグアカリエンテスまで俺らを運んでもらえはしないか?! 
ふとひらめいたこのアイディアを、実行するべく、止まっている貨物列車の方に、
一人で近づいていく。 
よく見ると、二股に分かれている線路の進行方向を変える作業をしていた。
そして、裏取引の話を持ち出す。

 「アグアカリエンテスに、この貨物列車も行くのか?」
 「ああ、行くぞ。」
 「俺ら、チケットは無いのだが、 今日どうしても行かなきゃならないんだ。
  これで(金をちらつかせる) 乗っけてくれ!」
 「無理だ。 できない」
 「そんなこと言わんと。 頼む。 頼む。
  じゃあ、これで(さらに倍の金を見せる)どうだ!」
 「無理だ。あきらめな。明日行きなさい」

この正義感の強いおっさんは何があっても、買収話にはのらないだろうな。
その態度からそう察し、いったん二人のいる所へ戻った。 
かくして買収作戦は失敗に終わった。

3人でいきなり駅に乗り込んで、ばれてしまったら元も子もないということで、
まずは、一人で偵察に出かけた。 
完全に日は落ちているものの、満月のあかりで、線路を照らしてくれていた。 
月の光とはなんと明るいのか、月に当たっている光は、太陽の光なのだが。 
スパイ一号は、音を立てないように、駅に近づく。

駅の近くに列車が止まっていたが、つながっていなくて、
誰も乗客らしい人は乗っていなかった。 
さらに奥に行くと、だんだん駅員やセキュリティ関係の人達が多くなってくる。 
あの厳重な改札口の対岸を通らなければならない。 
しかし、もっと奥まで進み、アグアスカリエンテスに行く列車がどれなのか
確かめなければならない。
偵察の任務を果たさぬままでは、戻れない。

そろりそろりと駅に近づき、外灯が当たっているところを、
まるで忍者のように、スタタタと、忍び足で通り抜ける。 
ふーっ。 
うろついているセキュリティに、ばれてはいないようだ。 
まだ出発予定時間まで、45分ある。 
お客さんはまだ駅構内に入っていない。 
あと15分ほどしたら、あの改札口の厳重な門が開き、入ってくるのであろう。

これか?! 
そろりと近づいた列車が、まさにアグアカリエンテス行きのものだと判断した。
しかし、最悪だ。 
貨物列車は、一番奥だ〜。 
あそこまで、3人で行くのは難しいな。 
っとすると、客席の列車に乗らなくてはならないのだな〜。 
改札口のチケットチェックは、どれだけ厳しいのであろうか?! 
乗り込んだ後もチケットチェックがあるのだろうか? 
そうすると、どこに隠れていればいいのだ ?     
トイレか? 
万が一作戦が成功し、電車に乗り込めたとしても、車内で見つかり、
追い出される可能性も十分に考えられる。 
頭フル回転で、いろいろシュミレーションをしてみる。

ともあれ、一度戻って、この状況を残りの2人に伝えなくては。 
そして、またなんとか人の目をかいくぐり、無事駅から200m離れた線路の脇で待機していた2人の所に戻った。
さあどうするか?  
作戦会議は、再開された。   
            
                              つづく

〜次回予告〜
マチュピチュの基点の町、アグアカリエンテス行きの電車のチケットが売り切れ、オリャンタイタンボで足止めをくらう3人。 
しかし、そこから3人の冒険が始まる。
その電車に、なんとかして乗り込め!  
果たして、ズッコケ3人組は、無事マチュピチュに向かえるのか?!  
ドキドキの展開に 乞う ご期待!!


    なおと少年の大冒険☆なおと


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