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なおと世界一周旅日記  Vol.86 「間に合った!サルバドール入り」

2/17(火)   in サルバドール(ブラジル)

ドアの前に立った。
インターホンを押してみるが、どうやら壊れているようだ。
まだ朝の7時半過ぎ。

コンコン。
早朝から申し訳ないと思う気持ちから、今度はドアを軽くノックしてみる。
聞こえるはずもないような小さい音から、
次第に強めにたたいてみるようになっていった。
それというのも、このドアの前に立ってから、
もう10分もの時間が経とうとしていたからである。
サンパウロから、36時間。
人生始まって以来の最長バス移動で、疲れきった体を一刻も早く休めたかった。

う〜ん。
誰か、気が付いてくれんかの〜。
まだ寝てるのかな〜? 弱ったな〜。

その時、階段をかけ下りてくる足音と共に、「は〜い、ちょっと待って!
今すぐ、鍵を開けるから」と、男の人の声が建物の中から聞こえてきた。
ふ〜う。一安心。
これでようやく宿の中に・・・っと。

しかし、ようやく存在に気がついてもらえて、宿の中に入れるわ、
という安堵の気持ちは、そう長くは続かなかった。

ガチャ、ガチャ。 「あれ〜?」
ガチャ、ガチャ。 「あれ〜?」
ガチャ、ガチャ。 「あれ〜? 鍵がおかしいな〜、ちょっと待って〜。」
ガチャ、ガチャ。

鍵。
それは、外部からの侵入を防ぐ為の物であって中の住人が鍵が開けられないで、
外に出られないような事態は、皆無だと認識していた。(誘拐の時でもなければ)
しかし、今、目の前で起こっている事は、まさにそれなのであった。
俺は、中にいるのか?外にいるのか?と、妙な錯覚を覚えながら
宿の中に入れる瞬間を今か今かと、待ち続けた。

鍵がガチャガチャされる事、実に約10分。
俺がそのドアの前に立ってから20分が経った時、
ついに、サルバドールのカーニバルへの扉は開かれた。

「ご〜め〜ん、鍵の調子が悪くてさ〜。」

目の前に立っているドレッドヘアーの男性は、笑顔で俺を迎えてくれた。
それが、ナオヤさんとの出会いであった。

ナオヤさん。
「なおと」とかぶり気味のその名前は、一昨年初めてブラジルの旅で
サルバドールに来た時に、すでに耳にしていた。
というよりは、「耳にタコ」であったという方が正しい。
米国ボストン、バークリ−音楽院プロフェッショナルミュージック科卒。
サルバドールにはまり、在住8年目。
パーカッショニスト(タイコ叩き)であり、こちらで有名なバンド、チンバラーダの
メンバーになるほど、サルバドールで一番有名な日本人である。
地元の人も、ナオヤさんのことはみんなが知っていた。
ぜひ一度、お会いしたいものだと思っていたものの、去年は残念ながら、
ナオヤさんがちょうどレシーフェのイベントに行っていたので、
わずか数日の差で、お会いすることはできなかったのだ。

しかし、嬉しい事に、ナオヤさんは柏出身ということで、
「なおと」を知っていてくれた。
元柏のストリートミュージシャンで、ソニーから
メジャーデビューしたアーティストだと。
それで、その時は少しメールでやりとりをし、未来の出会いを約束した。
そして、あれから1年と3ヶ月越しの、約束がなんと叶ったのだ。

アルゼンチンのブエノスアイレスに着いた頃、「なお宿」という宿の経営者でもあるナオヤさんに一通のメールを送った。
今回、カーニバルに向けてサルバドールに行こうとしている事を。

すると、ナオヤさん率いる日本人太鼓チーム「ナタカトシア」のメンバーとして、
カーニバルに参加しないかという嬉しいお誘いを頂戴したのだ。
カーニバルを見に行くのではなく、カーニバルに参加できる!!
そのワクワク感を胸に、南の果てウシュアイアから、戦いの地サルバドールへ、
長距離移動を決行した。
カーニバルに間に合うように、光のごとく猛スピードで。
そしてついに、カーニバル2日前の今日、ここサルバドールにある日本人太鼓集団「ナタカトシア」の本部でもある「なお宿」にたどり着き、ナオヤさんと初対面を
果たしたのであった。

朝8時、ようやく「なお宿」に入る事が出来た。
しかし、36時間の移動で疲れた体を休ませる間も無く、
激動の長ーーーーーーーいサルバドール一日目が始まった・・・。


      ドレッド・サムライ・ブラザーズ☆なおと


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