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なおと世界一周旅日記  Vol. 54 「危機一髪!大追跡劇!②」

11/24 (月)    in ケサル・キビール(モロッコ)

まずは、スーク(アラブの国の商店街)へ行った。
細い路地に店が立ち並び、あふれんばかりの人の流れ。
1m進むのも一苦労である。
スークを抜けて、もう1000年前から雰囲気が変わっていないという
古い街並を歩く。
すべてが手作りの、服や、機械等の店が並ぶ。
まさにタイムスリップだ。

ヤギの皮で作るモロッコ皮というのが有名だそうだ。
皮を剥ぎ取った後、洗い乾かしておく青空工場的な所に連れて行ってもらう。
そうとう臭かった。
が、レザーになっている完成品しか見たことがなかったので、
その過程を見ると本当に動物の皮なのだなと実感した。

その後、ユダヤ人がたくさん住んでいた頃に建てられたという
お祈りをする場所・家などをまわって、最後にユダヤ人の共同墓地に案内された。ごく普通の草原に、ヘブライ文字が書かれた石棺がたくさん転がっていた。
お墓はやはり何か独特の空気の重さがある。
その墓地の後に、スラム街があり、家というより小屋を組み立てて、
そこで生活をしている人たちの姿を見た。

廻り終わったときには、相当の空腹を感じていた。
アラブの国はまだラマダン月間ということで、自分も何度目かのトライをしていた。日の出から、日の入りまで、何も食べない、飲まないラマダンを。

そして、なんとイスマイルの妹の家で、朝ご飯(普通の夕飯時。
ラマダンなので、一食目)を食べさせてもらった。
その後、喫茶店に入りイスマイルと話をしていると、やはりお金の話が出てきた。息子のために、これこれこうで、これだけ金がいるんだよなー。
いや、1000D(13500円)とか言ってるんじゃなくてさ、
まあ、気持ちでいいんだけど、もし協力してくれるなら・・・などと。
お金が最終的に絡んでくるのは予想できたし、
今日一日、彼が俺にしてくれたことを思うと、朝は、払う金はないと言ったが、
途中から御礼としてお金をあげてもいいなと思っていた。
幾分かお金を渡すと、彼はいささかその額に納得がいかない表情を
浮かべながらも、お礼を言った。

それから5分後、イスマイルは、「ちょいと仕事で行かなくてはならない所がある。30分程で帰ってくるから、ここで待ってろ」と言い出した。
「 O.K.」と言った30秒後、何かを察知した。
あやしい。
なんだかわからないが、奴を追わなくては!!

バッと立ち上がり、喫茶店を出、大雨の中を、奴が歩いて行った方へ
全力疾走で追いかけた。
しばらくすると、30mくらい先にイスマイルの姿を発見。
そのままの距離を保ち、奴に気付かれないように尾行を続けた。
自分が一体今、どこにいるのか全くわからない。
ただ、奴の後姿を追った。
なるほど、探偵や警察の「追う」というスリルは、こういうものか・・・。

5分ほど経っただろうか、奴がある建物の中に入って行った。
うん?
その建物の前まで行ってみると!!!見覚えがある!!
はっ!!!ここは!!俺の泊まった宿だ!
俺の荷物をまだ預かってもらっている宿である。

やっぱり! 嫌な予感は的中した。
こいつ、俺の荷物をどうにかするつもりだ。
危なかった! 
ずぶぬれになりながらも、「これで自分の荷物を守れる・・・」と、
安堵感が沸き起こった。
ここで見張っていて、奴が何か持って出て来たら捕まえようか。
それとも、すぐ突入しようか。
3秒後には、もう階段を駆け上がっていた。

奴が、いた!
宿のレセプション(受け付け)の人と、なにやら話をしていた。
そこへ、すげー何食わぬ顔で、俺が割り込んでやった。
その時の奴の顔に書いてあった言葉は
「なにーー?!! 何でこいつ、ここにいやがる!!
追ってきやがったのかー。 くそーー!!」であった。
奴は、何事もないような平静な顔を装ったが、一瞬見せたひきつった顔を、
この俺が見逃す訳が無かった。

俺はすぐさまバッグを持ち出し、チェックアウトし、駅を探すために外に出た。

こうして大追跡劇は、幕を閉じたわけだが、実際あの時、
俺が追っていなかったら、一体どうなっていたのであろう?
自分がどこにいるのかも全くわからない、宿の名前もわからない上に、
あのまま一人、喫茶店で待っていたら・・
俺は・・・? 俺の荷物は・・・? と想うと、とても怖い。

キーマンであるモウとは朝以来、会う事はなかった。
がその後、マラケシュで会ったある日本人の旅人が、モウとみられる人物にだまされ、金を巻き上げられたという話を聞いたときには、鳥肌がたった。
同じく出没ポイントはタンジェの鉄道駅で、手口は異なるが、話し掛けられ、
大金を払ってしまったという。

このように、ちょっと親日家を装い、日本人をだまそうとする悪い奴は山ほどいる。そんな中、本当に何の見返りも期待しない、
心の澄んだ優しい人かどうかを見極めることは、困難である。
ただ、全部疑ってばがりではおもしろくない。
全部信じていたら、確実にだまされる。
旅をしていく中で、直感は大事である。
そして、何よりもまず命、そして、パスポートとお金。
加えて常に警戒心があれば、少しの冒険心もいいのではないかと思う。
冒険心なんか持たなくても、勝手に冒険が起きてしまうのが、旅であるが・・・・。 生きてこそ。

 心に冒険を〜夢を抱きしめたくて〜♪
       by ノリピー ・ 三銃士テーマソング ☆ なおと



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