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なおと世界一周旅日記  Vol. 50 「人生初ヨーロッパ 」

11/20 (木 )        in リスボン(ポルトガル)

初めてヨーロッパに足を踏み入れたその感触は、決していいものではなかった。
この旅に出て以来、初めて「寂しさ」というものを感じた。
日本を離れてしばらく経つという理由から来るものではないことは分かった。
それは、「孤独」という種類の寂しさであろう。

カイロからスペイン・マドリッドに到着したその日、
ポルトガル・リスボン行きの夜のバスのチケットが、
幸運にもラスイチ(=最後の一枚)で取れた。
一見もったいないように感じるが、朝ユースホステルにチェックイン、
昼まで寝て、午後は街へ出、夜チェックアウト。
一泊もせずにポルトガルにやって来た。

ヨーロッパに対して、何か物足りなさを感じていた。
間違いなく、この物足りなさの原因は人間である。
ヨーロッパ=先進国は、なんと人に無関心な人間が多いのか?!
アラブのガツガツした国々から、ヨーロッパの落ち着いた国々に入ったため、
なおさらそう感じるのであろう。
ヨーロッパの中でも、スペイン人はラテンのノリではじけているとか、
ポルトガル人はとてもフレンドリーで親切であると聞いていた。
これでか?これでそうなら、ますます先が思いやられるな。

そういえば独りで旅をしてたんだ・・・。俺・・・。
急にどうしようもない孤独感を覚えた。
これまでは、現地の人達にからみ、からまれ、話し、踊り、歌う。
といったように、いつもそばに誰かがいるような状況が多く、独りで旅をしていることを感じさせない国々を旅してきたのだ、と思い当たる。
ところが、急に独りで街に立たされているような感覚に陥ったのだ。
無視されているのではないかと、被害妄想にもつながるほどだ。

ネクラという表現は自分には当てはまらないが、日本にいる時、
一日中ずっと家にこもって、かなりマメな作業や、オタッキーな
(=オタクの形容詞活用)時間をちゃんと持つようにしている。
ケータイにも一切出ないで、自ら孤独を作り上げる。
でもそれは、家族や友達など大切な人達が自分のそばにいる、
その安心感の裏付けがあるから、その孤独を楽しめるのであろう。
そんな独りの時間をこよなく愛しているし、大事にしている。

しかし、集団の中での意図しない孤独は、絶えがたいものである。
無視のようないじめや差別は分かり易いものであるが、
そうでなくとも、学校や会社という集団の中で、「独りぼっち」だと感じる時もある。
そういった中で孤立するということは非常に精神的に参ってしまう。
人は、自分の存在を誰かに気付いて欲しいものだ。
認められたいものだ。
自分の存在が必要ないという事は、生きている意味まで問うてしまう程である。
その種の孤独をここヨーロッパで感じてしまった。
透明人間になってしまったのかと思うくらい。
都会という乾いた街では、人と人との距離が
どうしても遠くなってしまうものなのか。
それはエジプトに居た時でさえも、アスワン、ルクソールという地方から
再び首都カイロに戻ってきた時に感じたことだった。

しかし、こういう感覚は日本にずっといたら、あまりにも普通で
気が付かなかった事であろう。
日本でも、他人をそれほど干渉しあわない。
外国人が日本に来たら、今の俺以上の気持ちを感じるのかもしれないなどと
考えたりもする。

これだけ大げさに深刻に言っているが、俺が言いたいのは、単純に、
値切り合戦が出来なくなった寂しさだったりする。
「なんで、はじめっから正当な値段を提示してくるんだー!」
「なんで、お釣りをちゃんと間違わずに、返しちゃうんだー!」
「ぼってこーい!ぼろうとしてこーい!」
(ぼる=1918年の米騒動の際に出た言葉。暴利→ぼりの活用)
「戦わせろー!」

もっと反応しろー!
もっと絡んでこーい!
俺の髪見てラスタと言えー!
目を合わせてくれー!
一緒に笑おーぜー!

しかし、アラブ人は人懐っこかったなー!
インド人のそれと一緒やったなー。
いや、それ以上かもしれんなー。
どこへ行っても、みんな笑いが絶えなかったなー。
ほんと、素敵な笑顔を持った連中である。
会った人みんな、口を揃えて " WELCOME!!" って、歓迎モードだった。
これ、旅人にはすげーうれしい暖かい言葉だ。
日本に帰って、外国人に会ったら、大きな声で言ってあげようと思う。
" Welcome to Japan ! ! "

アラブ、中東、・・・日本に居た時は、
この響きになんと危険なイメージを抱いていた事か。
アラブ諸国では、基本的に宗教のもと、犯罪、暴力は強く非難されているので、
人の物を盗まないし、襲ってきたりしない。
けんかは、しょっちゅう街で繰り広げられているが、これまた面白いのは、
絶対に手を出さないことである。
本気の口喧嘩である。
俺も何度かファイトしたが、どれだけ熱くなっても手を出してこないという安心感があって、それを楽しんでいたりした。
すごく安全であった。
今まで訪れたどこの国よりも。
しかし、ほんの一部の過激派のせいで、
アラブのイメージは悪くなってしまっている。
クレイジーで、行き過ぎた連中というのは、どの国にだっているのだ。
もちろん日本にだって、いーーっぱい、そういう奴らはいる。
しかし、アラブ人を見るとテロリストかも、というイメージが
日本の報道によって作り上げられてしまっている。
アメリカが正義。アラブが悪者。
この図式に首をかしげている人達も多い。

アラブの国々を旅した、いちバックパッカーとして、アラブ人は根っからの「いい奴」だということを声を大にして、世界中に伝えたい。

      アッサラーム・ハレイコム★なおと



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