おがつクラフトフェア

幟の制作風景をご紹介! 2014.04.13

震災後にはじまった「おがつクラフトフェア」には看板ひとつありません。これまでは段ボールなどの手作り看板で済ませていましたが、今後もずっと続いていくものにしたいという想いを受け、未来スケッチ貯金箱から30枚の幟を贈らせて頂くことになりました。神楽幕の制作でもお世話になった岩手県の京屋染物店さんにお力添え頂き、一枚一枚職人さんの手で染め上げて頂きましたのでご紹介します!

  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト1
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト2
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト3

神楽幕は一点ものなので、刷毛を使って描いていく「引染(ひきぞめ)」でしたが、全く同じものが複数枚必要となる今回は「手捺染(てなっせん)」という染型を使った技法で仕上げて頂きました。まずは文字だけを染める型を置き、木のヘラを使って染料を馴染ませていきます。次は別の型を使って周りを染色。ヘラを押し付ける強弱や引く速度など、職人さんたちの息が合っていないと均一には染まりません。リズミカルにどんどん進んでいくので単純そうにも見えますが、実はそこに経験と技術が詰まっているわけですね!

  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト4
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト5
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト6

染め終わったら、生地の両端に「張手(はって)」と呼ばれる道具を取り付けます。ロープが付いた角材に釘がたくさん打ちつけられていて、ここに生地を刺してゆっくりと引き上げていき、ピンと張った状態でしばし乾燥。そしてまた新しい生地を台に貼り付けて染める、というのを何度も繰り返していきます。

  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト7
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト8
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト9

昔は全ての工程が手作業だった染物の世界。もちろん今でも人の手による仕事には変わりありませんが、機械の力もうまく取り入れながら制作されています。例えば染型ひとつとっても、現在はコンピューター上でデザインし、型を彫るのはカッティングプロッターの仕事。実寸大の版下図をプリントして照らし合わせれば、何度でも同じ型を作ることができます。昔はというと、職人が下絵を見ながら渋紙を彫って仕上げていたので、そこにそれぞれの拘りや技、感性などが加わり、同じ下絵だとしても毎回違うものに仕上がるわけで、型というのは「どんどん鍛えていくもの」だったそうです。それが今は機械の導入により最初に作ったものが正確に繰り返されていくため、「一発勝負」になった分、初めから洗練されたものにしなければならないのだと仰っていました。

  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト10
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト11
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト12

染める生地や気候によっても染料の調合が変わってくるそうで、例えば粘度が合っていないと色が滲んでしまったりもするし、裏側まで綺麗に染め上げることもできないんだとか。お話を伺っている間にどんどん染め上っていったわけですが、まだこれで終わりではありません。しっかり乾燥させたら窯で蒸し、色が落ちなくなるまで何度も手洗いを重ねます。そして最後に縫製をして、ようやく完成。まだ先は長いのです。600年以上の歴史を誇るものづくりの里、雄勝町。そこに掲げるに相応しい素敵な幟になりそうですよ!

出張ワークショップ! 2014.04.27

おがつクラフトフェアの開催まで残り一ヶ月。イベントのPRも兼ねて「ARABAKI ROCK FEST. 14」の会場でワークショップを実施されると聞きお邪魔してきました!今回のメニューは、雄勝石のアクセサリーづくりと漁網ストラップづくり。それぞれ硯組合の職人さんと浜のお母さんたちが手取り足取り指導されていました。

  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト1
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト2
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト3

雄勝石のアクセサリーづくりは、今年のおがつクラフトフェアから加わる予定の新メニュー。石を好きな形にカットして、磨いて、穴を開け、ペイントや彫刻をしてペンダントかネックレスにできる他、ピンを接着した雄勝石でバッジを作ることができます。このような小物であれば短時間で気軽に参加して頂けますし、雄勝石の加工工程を一通り体験して頂ける充実した内容。

  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト4
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト5
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト6

この新しい取り組みを応援しようということで、未来スケッチ貯金箱から持ち運び可能な小型のボール盤(穴開け機)4台と、小型のルーター(彫刻機)を贈らせて頂きました。今回初めて活用して頂いたわけですが、小さなお子さんから大人まで扱える機械なので、たくさんの方々に雄勝石の加工を体験して頂くことができ、今後の可能性が広がりそうです!

  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト7
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト8
  • おがつクラフトフェア-2014.04.13-フォト9

雄勝石だけでなく、浜のお母さんたちによる漁網ストラップづくりも人気でした。おがつクラフトフェア当日は倍以上のワークショップメニューが用意されていますので、ぜひみなさん遊びに来てくださいね!5月25日におがつ店こ屋街(仮設商店街)にて開催します。雄勝の子供たちによるステージイベントや飲食ブースなども楽しめますよ。

ついに本番! 2014.05.25

初夏のような陽気に恵まれて、「おがつクラフトフェア2014」が開催されました。色んな企画やお店が立ち並ぶ中で、なんと言ってもメインとなるのはワークショップエリア。今年はなんと、雄勝ならではのものづくり体験コースが8つも用意されていました!

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

朝のミーティングにて、自分が担当するコースについて説明中の講師のみなさん。雄勝町内だけでなく、同じ市内の桃生町や山形県から応援にいらしている方の姿もありました。雄勝石が結ぶご縁ですね。ワークショップの受付を担当されていたのは、実行委員会の事務局を務める商工会や復興応援隊の地元のみなさんです。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

応援先のひとつでもある雄勝花物語さんの体験メニューは押し花葉書づくり。もちろん、これらのお花は雄勝産。みなさんが手間暇かけて準備した押し花をピンセットで並べ、専用の和紙を被せてアイロンをかけたら完成です!お隣は、ARABAKI ROCK FEST. 14でも人気だった名振マザーミサンガのお母さんたちによる漁網ストラップづくり。色とりどりの漁網の中から好きな糸を選んで編むことができます。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

雄勝町と言えば「雄勝石」。雄勝硯生産販売共同組合のみなさんによるワークショップの中でダントツの人気だったのがアクセサリーづくりでした。好きな石を選んだら、まずは押し切りという裁断機のような道具でカット。形が整ったら水に濡らしてヤスリがけ。雄勝石は一般的な石より柔らかくパイ生地のような層になっているので、はじめての方でもザクザク切ることができます。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

ペンダントとキーホルダーをつくる際に必要となるのがこちらの機械。先日贈らせて頂いたボール盤です!狙いを定めて回転する刃をゆっくり下すだけで、誰でも簡単に穴を開けることができちゃいます。こんな風に自分で石を加工するチャンスはなかなか無いので、特産である雄勝石の魅力に触れて頂く良い機会になったのではないでしょうか。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

アクセサリーの仕上げコーナーでは、同じく贈らせて頂いた彫刻用のルーターが活躍していました!みなさんかなり熱中していて、特に子どもたちの真剣な横顔がとても微笑ましかったです。雄勝石のバッジであれば、形ができた状態から自分で仕上げをするだけなので、小さなお子さんも楽しんでいました。完成すると、どこかみんな誇らしげ。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

この他、自由にカットした石に文字や写真をプリントしてもらう雄勝石記念プレートづくりや、東京駅舎の屋根に葺かれたことで有名になった雄勝石スレートの絵付け体験、純東北産蜜蝋キャンドルと雄勝石キャンドルホルダーづくりなど、盛り沢山のワークショップエリアでした!

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

制作風景をご紹介した手染めの幟旗も雄勝の空で元気にはためいていました。新緑の季節にピッタリの美しい萌黄色。ものづくりの里としての再出発を後押しする、はじまりの色です。そしてもうひとつ、未来スケッチちょきんばことして「雄勝の手しごと写真展」のパネル制作に協力させて頂きました。完成したものを商品として手にすることはあっても、それが生まれてくる過程を目にすることはほとんどありません。作り手の姿も含めた雄勝のものづくりを感じて頂きたい、という想いが込められています。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

写真展と同じブースでは、今は貴重な存在となった硯職人さんによる硯彫りの実演が行われ、その横では実際に雄勝硯で墨をすって書道体験ができてしまうという、知って、見て、触れる、充実の内容となっていました。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

ステージでは、小学生による南中ソーランや花笠音頭が披露された他、ゲストをお招きしてのトークショーなども行われていました。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

応援先のひとつである、鼓舞のメンバーの雄勝町伊達の黒船太鼓保存会のみなさんも登場!今回はおがつクラフトフェアにちなんで、雄勝石で作った石琴を用いる楽曲が演奏され、力強い太鼓と涼やかな石の音が会場に響き渡っていました。600年の歴史を誇るものづくりと芸能の里として、とても意義のあるプログラムだったのではないでしょうか。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

出店ブースでは、今が旬であるホヤが注目を集めていました!種付けから出荷まで少なくとも三年を要するホヤの養殖。つまり、震災後はじめて収穫できたホヤなのです。お昼時にはお祭りらしく屋台でたこ焼きを食べたり、海鮮丼を食べたり、みなさん胃袋でも雄勝を満喫されているようでした!

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

もちろんクラフト製品の販売ブースもありました。雄勝石を加工して作ったものだけでなく、陶器やガラス製品、手拭い、アクセサリー、布小物など種類はさまざま。地元だけでなく、日頃から雄勝を応援しておられる作家さんたちの商品もずらりと並び、会場に花を添えていました。

  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25
  • おがつクラフトフェア-2014.05.25

小さなお子さんからお年寄りまで一日中楽しめるおがつクラフトフェア。来年以降も5月の同じ週末に定期開催していくそうですので、ぜひ遊びに来てくださいね!

応援してくださった皆さんへ 2014.06.27

実行委員の方々からお手紙をお預かりしましたのでご覧ください。クラフトフェアから描く雄勝の未来、そして「ちょきんばこ」を通して応援してくださった皆さんへの感謝の気持ちを綴って頂きました。

おがつ復興市実行委員会 実行委員長 高橋 頼雄
おがつ復興市実行委員会
実行委員長 高橋 頼雄
あれから3年以上の月日が経ち、この地に何が必要かを必死に考え、出来ることからひとつひとつ試行錯誤を重ねて。その積み重ねのなかで、やはり大事なのはこの地らしさを磨く事。600年以上前から硯を、明治以降は天然スレートの屋根材として、近年はお皿や花器などの工芸品としてこの地にある粘板岩を利用したものづくりを続けてきました。もっとこの石に触れてほしい。感じてほしい。この地の宝物を知ってほしい。そしてこの地の魅力を感じた人がここでものづくりを始めてくれたら。いずれそうなる為の今。本当の未来スケッチ。皆様の想いをしっかりと受け止めて、『おがつクラフトフェア』は頂いたワークショップ用の工作機械と鮮やかな幟旗を大事に使い続け、そして皆様をここで待っています。描いた未来が形になる日を楽しみながら。
未来スケッチ貯金箱にご協力頂きました皆様に、心より感謝申し上げます。
石巻市雄勝地区復興応援隊 伊勢 くみ子
石巻市雄勝地区復興応援隊
伊勢 くみ子
「おがつクラフトフェア」に過分なご寄附をいただきまして、ありがとうございました。
今回ワークショップの受付をさせていただき、直にお客様と接してみると、手作りする楽しさ、ワクワク感、また世界に一つしかないものを作る喜びがこちらにも伝わってきて、この「クラフトフェア」を開催している意義がわかってきたような気がします。一人でいくつもの体験をされる方や、子供たちより夢中になっているお母さん、我が子の作品に目を細めるお父さんなどぜひ来年も継続していけたらと思います。
なかなか復興工事が進まない雄勝ですが、こういうイベントを定着させて元住民や地域外の方たちも雄勝に遊びに来たくなるような町づくりをしていきたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。
雄勝硯生産販売共同組合 小木曽 誠
雄勝硯生産販売共同組合
小木曽 誠
このたびは多大なる御支援を賜り誠にありがとうございました。おかげさまでおがつクラフトフェアはたくさんのお客様にお越しいただくことができ、雄勝石を使ってのワークショップではご参加いただいた家族連れのお客様に思い思いの作品を作っていただき笑顔で皆様に楽しんでいただくことができました。ご参加頂いたお客様のなかには現在も仮設住まいを続けている中でこうした地域の催しを継続してくれることがうれしいと言ってくださる方もおりました。こうした地元の方、雄勝という風土に愛着を感じてくださる方々のお力添えのおかげで雄勝を盛り上げていけることに感謝がつきません。本当にありがとうございました。
石巻かほく商工会 細谷 豊
石巻かほく商工会
細谷 豊
この度は、おがつクラフトフェアの開催に際しまして、多大なるご支援をいただき、厚くお礼申し上げます。
当イベントは、伝統工芸である「雄勝硯」を始め、ワークショップを通じて、雄勝石を見て、触って、体験し、伝統文化を味わっていただく機会をつくることができたと感じました。おかげさまで、会場内には、萌黄色ののぼり旗が鮮やかに並び、貴重な職人の姿を見ることができる写真展の他、ワークショップコーナーでは充実したコースが用意され、コース選びに迷いながらも楽しそうに体験する子ども達や、大人達の笑顔が多く見受けられました。
雄勝の伝統文化を感じていただいた当イベントが無事成功できましたのは、皆様ひとりひとりの気持ちの詰まった募金を始め、ご協力頂きました方々のお力があってこそだと身にしみて感じております。
支えていただいた皆様、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
close