なおと世界一周旅日記 Vol.132 「入店拒否」
5/23(日) in ボゴタ(コロンビア)
それは、3連休の2日目の夜のことだった。
いつもなら週末で町が夜盛り上がるのは、花の金曜日と土曜日の2日間だが、
今週は、月曜日も祝日だということで、日曜日の今日も、夜出かけることにした。
出かける前は、居候先のパパ、ママから、
「いやー、今日は街には誰もいないと思うなー、日曜だから」という助言を
いただきながらも、何かある気がして、出かけたのであった。
ベネズエラに向かう前に、せっかく首都ボゴタに来たのだから、
コロンビアの音楽を感じたいと思った。
居候先のパパにそのことを話すと、友達の娘さんから、ヤングな情報を聞きだしてくれ、今、ボゴタで熱い生バンドの入ったお店の一覧リストを書いてくれた。
それをもとに、おととい、昨日、金、土と、あちこち出かけたが、
特に面白いこともないまま、3日目に突入した。
parke 93という公園の周りに、バー、クラブ、ライブハウスなどが集中している。
最近ボゴタの地元人にとって、ホットなスポットになってきていると言う。
ライブ・バンドの入っている地元人に人気の店、「EL SITIO」に向かった。
明日が祝日とはいえ予想に反し、いつもなら公園の周りにわんさかいる人は、
見当たらない。
やはりパパ、ママのご指摘通り、こっちの人は日曜はしっかり休むようだ。
しかし、「EL
SITIO」に着くと、ここは相変わらずの活気であった。
店内から、ライブの音がもれてきている。
おお,早く見たいぞ。
「駄目だ、おまえは入れない」 入り口に立つセキュリティスタッフが
険しい顔付きで言う。
「は? なんで駄目なんだ?」
「おまえは、一人だろう? 一人は入れない」
「は?なんでだよー」
「カップルとか、ファミリーとか、友達同士じゃないと入れない」
「そんなのおかしいだろう? じゃあ何かい?!
その辺の奴と友達になって入ったらいいんかい!
一人だと駄目なんておかしいだろう!!」
しばらく、討論していたら、今度はスニーカーでは入れないなんて、
いいがかりをつけてきた。
おかしすぎる、さっきまではそれについては何も言っていなかったのに!
確かに、ややきれいめのお店なので、ある程度の正装は、必要なのかもしれないが、それなら先に言えばいいし、入れない理由を見つけたように、急にそんなところを指摘するなんて、おかしい。
思い返してみれば、この店は、おとといの夜来た時も入れてもらえなかったのだ。
ただ、その理由は、人が溢れていて一杯であったからであったはずであった。
しかし、今思うとあれも、俺をお店に入れたくない口実に過ぎない気がしてきた。
日本人だからか、小汚い格好をしているからか。。
こいつら、完全なめやがってー!!
どんなに混んでいたって、一人が入るくらいのスペースがないわけがない。
ましてや、椅子の並んでいるお店なのだから、後ろで立ってでも、
ライブを見せてくれてもいいはずだ。
おとといのことも合わせて、この徹底した入店拒否にだんだん腹が立ってきた。
そして、ガーっと怒鳴りながら、有り合わせのスペイン語で噛み付いていく。
「おかしいだろう!!俺は、単純に、ライブを見たいだけなんだよ!
世界中を旅してるけど、こんなこと初めてだぜ!!
入れてもらえねーなんてよ。
コロンビア人は、 みんないい奴ばかりだけど、そうでもねーみたいだな!!
俺は、音楽を聞いて、見て、感じたいだけなのによーーー!!
なんで駄目なんだよ!! この、くそやろー!!
入れろよーー!! 入れろよー!
もういい、おまえじゃ話にならん!
店長を出せ! 店長って、スペイン語で何て言うんだ?
マネージャーを出せ! マネージャー!!って、なんて言うんだ?
ちきしょーー!! いいから、ともかく、他の奴呼んでこい!!」
次に出てきた奴も完全、上から俺を見下しやがって、
煙たそうな顔で「帰れ。」と言う。
むしろさっきの奴よりもひどい対応だ。
ちょっと人気がある店だからって、おまえら、痛い目に合うぞ!!
そんなことしていたら!
ここまできたら、あきらめる訳にはいかない。
なんせ、ライブの音が聞こえているのだ。
見たくてしょうがない!
それからというもの、ごねにごねる。
ごねまくる。
ごねくりまわす。
ごねきる。
ごねごねしきる。
入れろー! 見せろー! 聴かせろー!!
30分ほど経った頃であろうか、遂に、最初に文句をぶつけまくったセキュリティスタッフがオーナーの許可を取ってきたのか、あきれた表情で
「じゃあ、ちょっと見るだけだぞ!」と言って、やっと入れてくれた。
おお!入れた!!ありがとう!っつうか、
最初から入れろっつうんだよ! ぼけ!
っつうか、おまえ、入れたはいいけど、ライブ終わっちゃってんじゃねーかー!!
おい!!どうしてくれんだよ!!
意味ねーじゃねーか!
ライブ終わってたら!
さらに、泣きじゃくる子どものように、文句を言っていると・・・。、
「あと一時間後に2部が始まるから、来ればいい。」
「お!いいのか!見せてくれるのだな!グラシャス!」
かくして、得意のしつっこさ、粘りで、お店に入る権利をもぎ取った「なおと」。
一時間後に、お店に戻り、ようやく念願の入店に成功したが・・・・・
悔しい☆なおと
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