NAOTO INTI RAYMI

NEWS

10/7(水)発売、EP「オモワクドオリ」全曲ライナーノーツ解禁!

今年1月末。1月期放送のTBSテレビ・金曜ドラマ「病室で念仏を唱えないでください」
の撮影を終えたナオトは、ロサンゼルスにいた。
昨年9月に世界3大レコード会社の1つであるユニバーサルミュージックラテンと契約し、
「El Japonés」で海外デビューを果たした彼は、海外作家との楽曲制作のために渡米。
自身の売り込みも兼ねた訪問は、その後、マイアミ、メキシコへと続いた。

そこに襲った新型コロナウイルス感染拡大の波。
アジアや欧州で爆発的に感染が広まり、渡航自粛が求められるようになった3月中旬、
ナオトは予定を2週間ほど早めて緊急帰国した。

ほどなくして日本政府は東京都を含む7都府県に緊急事態宣言を発出。
宣言が出された4月7日は、不運にもナオトのデビュー記念日だった。

今年元日、ナオトはメジャーデビュー10周年となる2020年を“おまっとぅりYEAR”と題し、
「全国ツアー開催」「ベストアルバム発売」「ナオトの日スペシャルLIVE開催」「海外公演」
という公約を発表していた。しかし、それはまるっと2021年に持ち越すことになってしまった。

「帰国した3月末から1ヶ月くらいは絶望的だった。
焦りによる苛立ちから珍しく声を荒げたりして……。
こういう状況になったらオンラインとかSNSで発信していかなきゃいけないっていうのはわかる。
だけど、これまでSNSなどの発信を積極的に取り組んでこなかったアナログ人間だから、
どうやったらいいかわからない。かたや、その手が得意な人や世代はバンバン発信して活躍していく。
その様を見てまた焦るっていう悪循環だった」

ナオトの“音楽のもと”は人との触れ合いだ。世界各国を旅するのもそう。
高校時代に始めたストリートライブもそう。目の前にいる人間と触れ合い、心を交わし、
1人、また1人と巻き込んで、キャリアを積み上げてきた。
ナオトにとってライブは出発点。ライブが主戦場。
そんな彼にとって対面形式のライブができないことは、羽根をもがれたに等しかった。

そんな中、5月2日に行われたTikTokでの生配信ライブによる
「Stay Home! チャリティLIVE」に出演。
この生配信ライブがメンタルチェンジの転機になったという。

「視聴者からのコメントを読んだり、感想を聞いたり、お互いにやりとりしながライブができて。
普段、たくさんの人の声を聞きながらライブを進行することはないから
ストリートライブに似た感覚もあったし、なにより新鮮で、すごく手応えがあった」

そこから毎日のようにTikTokにオリジナル楽曲の歌唱動画やカバー歌唱動画、
チャレンジ動画を投稿。目に見えてフォロワー数は増えていき、
ナオトの魅力に初めて気付いた若い世代も見に来るようになった。

「TikTokは、歌だけじゃなくてエンタメも好きっていう自分と相性が良かったんだと思う。
これをやってなかったら一生、接点がないままだったんじゃないかっていう世代の子たちと繋がれたし、
自分のステージを1個見つけた、やるべきことがわかったっていうのが大きかった」

そのTikTokでの手応えが、「ナオトの日スペシャルLIVE 2020」の実施に繋がった。
初の有料生配信ライブという形で挑んだ今年の「ナオトの日」では、
生配信を活かしたインタラクティブ性が重要と考え、
視聴者とテレビ電話で話したり、いつも支えて頂いているお客さまと一緒に、
という気持ちから演目の合間に過去のライブ会場で録音された歓声を入れたり、
さらには終演後のアフタートークまで見せるなどして、“繋がり”、“臨場感”、“一体感”を演出。
お客さん全員が最前列となるよう努めた。

「普段のライブの代わりじゃなくて、まったく新しい形のライブ。
この先、普通のツアーが始まっても、これはこれでやっていきたいと思うくらいのライブがつくれた。
プラスαの武器ができたと言ってもいい。最初は絶望してたけど、
今はコロナが終息したときのために必死で動けてるっていう充実感があるんだよね」

今回完成したEPは、当初予定していたベストアルバムの代わりに届けられたナオトからのスペシャルギフトだ。
タイアップソングが満載だが、「年末福袋みたいな感じで、アレもコレもソレも入れてみよう」
という思いから、「今の自分の音」をパッケージしたという。

幕開けを飾る「オモワクドオリ」は、ジャジーな味付けが効いたファンキーで軽妙なナンバー。
歌詞はもつれた恋愛をテーマにしていて、相手を思い通りにできないモヤモヤと、
そんなパートナーを思惑通りに転がす恋人との愛らしい痴話喧嘩が描かれている。
この曲は今年3月にレコーディングされたそうだが、鍵盤はLA在住、ギターはNY在住、
ドラムはマイアミ在住のコロンビア人、ホーンは東京在住キューバ人、ベースは日本にいる鈴木渉、
そして歌はナオトがマイアミのスタジオで録音。
もともと音数の少ない鋭敏なサウンドをめざしていたそうだが、各自が辣腕をふるって素材を送り合うことで、
図らずもリモート録音が楽曲に洗練をもたらしたという。

続く「Invitation」は、未来の自分への招待状がテーマ。
トロピカルハウスを下敷きにした疾走感のある曲で、ナオトの独特のグルーヴが奏でるガットギターが印象的。
「これまではライブ感を重視して使っていたガットギターをかなりエディットして使うという新しいチャレンジができた曲」と語る。

陸上競技でオリンピック出場経験のある伊藤友宏氏と“走ること”をテーマに作った
「スタートライン」は、聴くとまさに駆け出したくなる曲。
自身初のNHK「みんなのうた」起用となった。
走る歩幅やスピードを考えて、カリブ海ドミニカ共和国発祥のメレンゲのリズムを使ったところがナオトらしい。歌詞で特に耳に留まるのが「隣の影は気にするな」という一節。
ナオトはこのフレーズに「日本人の調和精神や他人に気を遣う優しい心は大事だけれど、
自分自身と他人を比べることは人間を幸せにしない。
人生というレースでも、自分のペースで、自分の走り方で、自分なりのゴールを目指して欲しい」
という思いを込めたそうだ。

本作の中でグッと洋楽テイストが強まる「Sunset Lovers」は、
前作『7』収録の「Shake! Shake! Shake!」「Start To Rain」「Sing a song」
で共作していたShane Faccinelloと再びタッグを組み、LAで制作した楽曲。
ミックスもLA在住のエンジニア・村山晋一郎が手掛けていて、
夕暮れのメランコリックな雰囲気がありながら、西海岸特有の乾いた質感に仕上がっている。

5曲目「きっかけはキッカケで」は、
ナオトの作風のひとつである、キラキラこみあげ系アコースティックソウル。
「キッカケがなかったら始まらないからキッカケは超大事。キッカケを掴むアンテナを立てておくことも大事。
でもキッカケはキッカケに過ぎない。その先が大事ってことを伝えたかった」と語る。

さらに本作には、ステイホーム生活でのワークアウトに向けた「Ballooooon!!(Remix ver.)」と、
宮崎裕介のピアノ独奏による「スタートライン(Piano ver.)」を収録。
今回のEPはバラードがないのが特長で、コロナ禍の鬱々とした気持ちを吹き飛ばしてくれるような明るい曲が並んでいるが、その中で「スタートライン(Piano ver.)」が一服の清涼剤のような美しい旋律を響かせている。
オリジナルは軽快な曲だが、スローなこのPiano verを聞くと、メロディーの良さに改めて気付かされる。

デビュー翌年に発生した東日本大震災を機に「未来スケッチ貯金箱」を創設し、
その後も大きな自然災害が起きる度に募金やボランティア活動に励んできたナオトは、
「コロナもある意味、災害」と語る。
全世界を襲っている苦境の中で、彼は自分の役割を見つけ始めていた。

「自然災害と向き合ってきた10年でもあると思っていて。
苦境の中での音楽の役割っていうのは身を以て感じてきたんです。
音楽は衣食住、そしてライフラインが整ってから。でも、気軽に発信や受信をできるものではあるから、
いつかみんなが光に辿り着けるまで全身全霊で発信し続けていくのが自分の役割だと思ってます。
自分は光を放っていないとな、と。この人の近くにいれば何か光が当たるなっていう存在でありたい」

インティは太陽、ライミは祭り。そんな自己紹介フレーズで登場してから10年。
太陽が照らすのは外だけじゃない。
ナオトの太陽は、おうち時間を過ごすあなたの心も明るく照らしてくれるはずだ。
そして、その陽光は2021年へお引っ越しした“おまっとぅりYEAR”にも燦々と降り注ぐだろう。

「会えなかった時間の分だけ、会ったときの喜びは大きいから。
ライブをお客さんの大歓声の前でやれたら、
これまでに感じたことのない絶頂感を味わえるんじゃないかと想像しています。
それはファンのみなさん方も同じはず。
これまで当たり前のようにやってきたけど、ツアーやライブってこんなに特別な事なんだって。
こんなにありがたい空間なんだっていうことを思いっきし、互いに噛みしめ合いたい。
そんな2021年になることを心から願っています」

 
2020年8月/猪又 孝

このページをシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE